■ 第一話 ■



「シャインアクアイリュージョーン!」
「ぐぇええぇっ!」
 5体の妖魔を相手にセーラーマーキュリーは孤軍奮闘を続けている。町外れに
ある廃校になった学校の体育館、そこが決戦の場だった。
 攻撃力に乏しいマーキュリーの力では、妖魔に致命傷を与えることはできない
が、幸い今相手にしている妖魔はさほど強くはなく、倒せないにしてもなんとか
マーキュリー優位な状態で闘いは展開している。既にルナが仲間達を呼びに行っ
ており、みんなが来てくれるまでなんとか持ちこたえるのが自分の役目だと思っ
ていた。
 この妖魔たち強くはないのだが、実に相手にしにくい、いや、したくない性質
を持っていた。おぞましい外見は見ているだけで鳥肌が立ち、立ちこめる臭気に
は目眩がする。薄暗い体育館の中なのが幸いして、視覚的な嫌悪感は薄れている
が、生臭い・・・イカ臭い匂いに汗とおしっこの匂いが混じったような匂いは耐
え難いものがあった。戦闘による肉体的な疲労より、この匂いに意識を失いそう
になる。何度も怒濤の水流をぶつけているのに、妖魔たちの身体から臭気が薄れ
ることは全くなかった。むしろ、水のせいで体育館中に匂いが充満していく気さ
えする。
 最近、この当たりで頻発している婦女暴行事件。発見される被害者は全裸で、
明らかに暴行された形跡があるのだが、全身に纏った粘液は精液に酷似してはい
るものの、それは人間の物ではなかった。また、奇妙にも、暴行された女性は誰
一人として犯人逮捕を望まず、そして皆、一様に・・・淫乱になっていた。目は
とろぉんと潤み、薄く開いた唇の端からは涎を垂らし、なんとはなしに自らの身
体を弄っているのだ。
 セーラーチームで捜査に乗り出した中、マーキュリーは・・・亜美は事件が起
こっている場所の規則性に気づき、この学校に様子を見に来たところ、見事に犯
人と出くわした・・・出くわしてしまった訳だ。
「あ・・貴方たち!いい加減にして貴方たちがいた闇の世界に帰りなさい!」
 息が上がってきたことを気取られないようにしながら、亜美はそう叫んだ。
 妖魔たちは一瞬きょとん、とした表情で動きを止め、それから首を傾けて・・
・笑った。
「げへ・・げへげへ・・・やだね。」
 一番身体の大きい妖魔がぼそっと言った。
「きひひひひひ・・・」
「ぶしゅるるるるる・・・・」
「かかかかかかか・・・」
「お前さんがいい気になってられんのも今の内だ。げへっ・・げへっ・・」
「きひひひひ・・・そうそう。」
『み・・みんな・・早く来て・・・』
 そう思った時、外から何かが近づいてくる気配がした。
『みんな!?』
 だが、様子が変だ。
「いやっ!な・・何よあんた!離しなさい!誰かっ!誰かきてぇ!」
「げへへへ・・・到着したようだ。」
「あぁっ!」
 体育館に入ってきたのは、6体目の妖魔と、そいつに掴まって藻掻いている女
子高生の姿であった。
「し・・白鳥さん?」
 口にして亜美は『しまった』と思った。
「知り合いか?げへげへっ・・そいつは都合がいい!」
「う・・嘘よ。勘違いよ。」
 慌てて首を振る亜美。そのリーダー格らしい妖魔がじろり、と白鳥京華に視線
を向けると、京華も怯えた表情で首を振る。
「し・・知らないわ・・・そんな人。」
 白鳥京華・・・亜美の中学時代の同級生である。うさぎたちと出会う前、亜美
は成績を妬まれ、仲間はずれにされていた頃があった。その、亜美を仲間はずれ
にした張本人が京華だ。白鳳財閥会長の孫娘であり、社長の一人娘でもある京華
は、成績優秀、美人でスタイルも良く、その周囲にはいつも数人の取り巻きがい
た。その取り巻きを使って京華は亜美をのけ者扱いしていたのだ。成績を妬んだ
だけではない、亜美の美しさ、スタイルの良さ、そして自分は持っていない性格
の良さを妬んでの行為であった。
 京華はお嬢様私立に進んだので、亜美とは中学以来の再会となるが、セーラー
戦士に変身している亜美が誰であるのかは認識できていない。
「げひげひげひ・・・ぐへへへへ・・・知っていようがいまいが、どっちでもい
い。お前さんが大人しくしないとこの女の首をへし折ることになる。ぐぇへへへ
・・・」
「お・・折るって・・何?・・じょ・・冗談はやめてすぐに離しなさい!く・・
臭いのよ!そこの人!早く言うことをきいて!」
「あ・・あぁ・・・そ・・そんな・・・・」
「どうする?セーラーマーキュリー!?」
「・・・わ・・わかりました・・・大人しくするわ。」 
 亜美はがっくりと肩を落とした。
「げへっげへっげへへへっ!よぉし!おい、アルバ!」
「きひひひひ・・・へい!」
 アルバと呼ばれた妖魔のぬらぬらと光る体表には無数の疣が覆っており、それ
ぞれの疣の先端にはもやしの芽のような毛?が生えている。アルバは自分の身体
にぶちゅっと指を突き入れてこねり、疣の一つを取り出した。身体と疣の間で黄
色い粘液が糸を曳く。その疣を床に投げ捨てると、そこからしゅるしゅるとツタ
のような物が生え出し、たちまち2m近くまで成長した。
「ズサ!」
「くっくっく・・・・」
 ズサと呼ばれたのは京華を捉えてきた妖魔だ。ズサは京華の身体をたった今生
えたばかりのツタに向かって突き放し、ツタは京華の身体に巻き付いて、動きを
とれないようにしてしまった。
「は・・放して!放しなさい!」
「言うことをきいたんだから、その人を放してあげて!」
「その女の、その女のせいなのね!?」
「えぇっ!?」
 京華の言葉に亜美は絶句する。
「ち・・ちが・・・」
「私は無関係よ!そんな女知らない!だからすぐに放して!」
 鬼の形相で叫び続ける京華をにやにや見ているリーダー格の妖魔・・・ゲロの
指示で、会議に使う折り畳み式のテーブルが3脚運ばれてきた。
「乗れ。四つん這いだ。」
「・・・・」
 亜美はぎゅっと下唇を噛むと、言われたとおりテーブルの上に乗って四つん這
いの姿勢をとった。
「いいか、変な気を起こすんじゃねぇぞ!たとえお前さんが俺たちの誰かを攻撃
したって、残った奴があの女を殺すのは訳ないことなんだぜ。」
「・・・はい。」
『あぁ・・・みんな・・・早く・・・早く来て!』
 こうなってしまったら、少しでも時間を稼ぎ、仲間達の到着を待つしかない。
 テーブルは京華が立っている位置に対して斜めに置かれている。京華から亜美
の全身が見えるように、亜美が横目で京華を見えるように。
 亜美を四つん這いにさせた妖魔達は、テーブルの周りをぐるり、と取り囲むと
・・・手を繋ぎ、人間の言語とは異なる言葉を唱えながら、ゆっくりと回り始め
た。妖魔が口を開く度に唾液が吐き散らばり、飛沫が亜美の頭上から降り注ぐ。
あの唾液特有の奇妙な匂いをずっと濃くしたような香りが周囲から立ち上ってい
った。
 亜美の頭の位置は、妖魔達の股間の高さに等しく、顔のすぐ前を妖魔の性器が
通過していく。回転が繰り返される毎に、妖魔達のペニスは次第に勃起していく
ようだった。
 立ったままツタに縛られている京華、テーブルの上の亜美、その周りを回転す
る妖魔達、それはまるで何かしら宗教的な儀式を思わせる。京華が偶像であり、
妖魔が使徒であり、そして亜美が生け贄である。
「これで・・・よし・・・」
「な・・何をしたの?」
「げへへへへ・・・今にわかる。」
 怯えた顔の亜美を見て、満足げに笑いながらゲロが言った。
 何が起こったのか?
  京華は勿論のこと、亜美にも判らなかった。ただ、周囲の景色がなんだか不自
然で白々しいものに思える。実は妖魔達は空間を別の位相に転移させたのだ。も
し、今他の戦士達が駆けつけても、学校自体が迷路のようになっているし、もし
運良く体育館に辿り着けたとしても、異様な臭気の他には何も見つけられないだ
ろう。さらに、亜美やテーブルの場所に立ったとしても、重なり、素通りしてし
まう。
 しかし、そのことを亜美に教えるつもりはない。セーラー戦士の情報は知って
いたし、きっと仲間が助けに来るだろうことも察しが付いていた。そして、『き
っと仲間が来てくれる。』と思わせておけば、この先従順にことを進めることが
できるはずだ。逆に仲間の助けがあてにならないとなれば、自分でどうにかしよ
うとするだろう。
「ぶしゅるるる・・・・」
 一匹の妖魔が長い舌で舌舐めづりしながら、好色な視線で亜美を見つめる。
「セーラー戦士と犯れるなんて・・・た・・たまんねぇ!」
「げへげへげへ・・・」
 妖魔は円陣の直径を縮め、四つん這いの亜美に近づいていく。
「い・・いやっ!」
「おっと、動くなよ。」
「帰して!うちに帰してよ!今なら許してあげる。貴方たちのことも、その女の
ことも!」
「うるせえ!」
 アルバが一声叫ぶと、首に巻き付いたツタがきゅっと締まり、京華は慌てて口
を閉じる。
「あ・・貴方たちはなんで・・・こ・・こんなことするの?」
 亜美の声は震えていた。
「お前達人間が牛や豚の肉を食わなきゃ生きていけないように、俺たちはセック
スしてないと生きていけないのさ。」
 ゲロが答える。
「そ・・そんな・・でも・・・だって・・・」
「精液さえ放出してればいいんだ。だがな、お前達人間の反応は実にいい。味覚
に喩えるなら、美味しいってことさ。」
「あぁ・・お・・お願い・・・許して・・・・」
「それによ、最初は嫌がっていても、俺たちに犯られた女はみんなハッピーにな
れるんだぜ。お前さんも、すぐにな。げへへへへ・・・」
「嫌っ・・・嫌ですっ!」
「さ、時間稼ぎはそのぐらいいして、そろそろおっぱじめようぜ。」
 ゲロの言葉に亜美はぎくりとした。
『よ・・読まれてる!?』
 戦闘力に劣るマーキュリーはこれまで知能をフル回転させて幾多の危機を乗り
越えてきた。しかし、今回の敵は、亜美が思っていたよりずっと知能が高く、狡
猾だったのだ。
「じゃあ、まず変身を解いて貰おうか。」
 ゲロの声に亜美は息を飲む。
「そっ・・それだけはっ!・・それだけは許してください・・・お願いです!・
・て・・抵抗しませんからっ・・・な・・何でも言うことをききますから・・・
それだけは・・・」
 変身を解いたら、京華に自分が誰だかわかってしまう。セーラー戦士として正
体を知られる訳にはいかないだけではなく、さんざん虐められてきたかつての記
憶が蘇る。自分が水野亜美だとわかったら、たとえここから無事に戻れても、そ
の後逆恨みされた京華にどんあ虐めを受けるか、想像しただけで恐怖であった。
「ふん・・・ま・いいか。」
「あ・・ありがとうございますっ!」
 四つん這いで頭を下げる亜美の姿は、まるで土下座しているようだ。一方、ゲ
ロにとっては、京華の命以外にもセーラーマーキュリーに命令できる切り札を持
ったことになる。
「おい、ガブ。」
「かかかかかっ・・・」
「肌には傷つけず、できるか?」
「かっかっか・・・」
 声をかけられた妖魔は笑いながら何度も頷いた。
「よし、やれ。」
「かかかかか・・・ぶしゅうぅぅううううぅ!」
「きゃっ・・きゃあっ・・!」





 ガブの口から霧状の液体が噴出し、亜美の全身に降りかかっていく。亜美は思
わず四つん這いの姿勢を崩し、横座りで片手をガブにかざすような体勢になった。
「ぶしゅううぅぅううぅぅううう・・・」
 霧は尚も亜美の上に降りかかり・・・すると・・・
「え?・・・あぁっ!・・・やっ・・・いやぁ!」
 コスチュームが溶けていく。
 セーラーマーキュリーの身体を包むコスチュームの白い部分だけが見る見る溶
けていき、乙女の柔肌がどんどん露わになっていく。ブーツやグローブ、スカー
トや首の周りのひらひらはそのままで、レオタード様の部分だけが失われていく
のだ。
「い・・いやっ・・止めてぇっ!」
 亜美は両腕で乳房を覆い、太股をぴったり閉じて首を振る。
「手をどけろ。さっきの姿勢に戻れ。」
「い・・嫌・・・・」
「それとも、変身を解くか?」
「!・・・・い・・嫌・・・あぁ・・・わ・・わかりました・・・うぅっ・・・」
 亜美は片手で乳房を覆ったまま、のろのろと腰を上げ、再び四つん這いの姿勢
になる。
「そら、手をどけろ!」
「あぁ・・・」
 亜美はぎゅぅっと目を閉じると、そっと腕を解いてテーブルの上についた。
 ぷるん・・・
 転移した位相の中でも重力は働き、たわわに実った果実は重たげに揺れる。
「ひょぉお!」
「きひっ・・きひっ・・きひぃっ!」
 取り囲んでいる妖魔達から歓声があがる。
「股を開け!」
「ゆ・・許して・・・許してください・・・」
「・・・・・」
 無言の圧力だった。
「うぅ・・・あぁ・・・おかあさん・・・・」
 震えながらしなやかな脚が開いていく。
 短いスカートの裾はお尻の半ばまでまくれ上がり、おずおずと開いていく股の
中心から淡い翳りが、そして母親にさえ見せたことのない部分がぱっくり開いて
見えてくる。
「うほぉお!すげえ!すげえ綺麗だ!ひぃ〜っひっひっ!」
「あぁ・・いやぁ・・・み・・見ないで・・見ないでくださいっ!」
 真後ろから覗き込んでいた妖魔が嬌声をあげると、亜美は泣きそうになりなが
ら片手で股間を覆う。
「隠すな!おい!俺たちを甘く見るなよ!」
「あぁっ・・ご・・ごめんなさいっ!」
 ゲロに凄まれた亜美はしゃくりあげながら手を元の位置に戻す。
「うっ・・うっ・・うっ・・・ぐすんっ・・・・」
 ゲロを除いた妖魔達は、亜美の後ろに回り込み、秘密の花園を鑑賞している。
視線が実体化して蜘蛛の糸になり、股間をまさぐっていくように亜美は感じた。
「さて、じゃあ次にそのままの姿勢でしゃぶって貰おう。」
「は?・・・しゃ・・しゃぶるって・・・?」
「こいつをだよ!」
「そ・・そんな・・・い・・いやあぁぁっ!」
 ゲロが指し示した先は自身の股間であり、そこには臍より高い位置まで猛って
いるペニスがあった。節くれ立ったペニスにはあちこちに疣があり、先端からは
きつい臭気が立ち上っている。
「嫌?そんなことが言えるのか?」
「あぁ・・・許して・・・お願いです・・・」
「何でもすると言っただろう!?」
「あぁ・・でも・・でも・・・そんなこと・・・許して・・・・」
『みんな何をしてるの?・・・お願い早く!早く来て!』
「しゃぶれ!もうこれ以上言わせるな!」
「あぁ・・・は・・はい・・・・」
 亜美は泣きながら差し出されたペニスに顔を近づけていくが、あまりの匂いに
顔を背けてしまう。初々しいその反応が気に入ったゲロは、3回までそれを許し
たが、4回目に亜美が横を向くと、「おい。」と声を荒げてみせる。
「あぁ・・・こんな・・こんなこと・・・できない・・できません・・・許して
・・・許してください・・・・」
「ちっ・・・」
 ゲロが舌打ちすると、京華を縛っていたツタがぎゅっと締まった。
「げ・・ぐげっ・・・な・・何をやってるの!・・さ・・さっさとしゃぶりなさ
いよ!・・人の・・私の命がかかってるのよ!・・そんなことぐらいできないの
!?このバカ女!」
「げへへへ・・・おい、あっちのお嬢さんはあんなこと言ってるぜ。お嬢さんの
言う通り、人の命がかかってんだから、真面目にやりな。」
「あぁ・・酷い・・・あんまりです・・・」
「げへへへへ・・・そら!」
「あぁ・・・」
 涙を流しながら、亜美は口づけさえ知らないその可憐な唇を、醜悪なペニスに
寄せていくのだった。









 

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